激高仮面 ( げっこうかめん )

時々、激高して書く仮面ライター 

コロナを まだ考える

 コロナの扱いが変わり、安心していいような、まだまだ注意をした方がいいような、そんな暮らしの日々になりました。感染者数も現在はどのくらい正確なのか、前の日常に近づきつつも高齢者のリスクは変わらないとか、あの時の医療現場の叫びを忘れて前に進んでいいのだろうかとか、いろいろ思うことがあります。

 先ずは、昨年末に感染した私の場合の経過を。

 職場で濃厚接触者となった同居の子が、陽性判明し自宅療養になりました。

 我が家の対策として、 食事は別にし、『互いに会わないよう にしよう』と、トイレや洗面所への移動は互いに『ラインで連絡してから』にしました。消毒液を配置しドアノブ・スイッチ・窓・蛇口等はその都度消毒、そして換気し、洗濯・ごみ箱は別々に・・・など、できる限りの注意を考えました。感染した子に会わずに過ごしていましたが、それでも私は3日後に陽性になりました。

 残った妻だけが頼りになってしまい、食事を各部屋にウーバーイーツ(?)のごとく運んでくれました。大感謝です。ジョークで   “ 婆婆イーツ ”  と名付けてしまいましたが、ゴメンナサイ。食事は テレビ番組の  “ 孤独のグルメ ”  みたいになってしまいました。

 心配した通り、やがて妻も陽性になりました。全員感染はやはり大変でした。

 若い人は自力での回復を待つのだそうで、医療・公共機関からは何の連絡もありませんでした。

 私たち高齢者は、医師からの連絡でフォローアップセンターから電話があり、アプリを使って、日々の体温や状況を報告します。この時点では少し安心になりました。ただし、電話での聞き取りは妻には一度あっただけでした。

 私は咳と息苦しさに耐えられなくなり、入院準備をしてフォローアップセンターへ連絡しました。その症状を聞いて、この段階から対応が保健所扱いに代わりました。入院を希望しその旨お話ししましたが、残念ながらさせてもらえずここからはとても不安で焦りました。入院の可否は、診ていただいている医師の判断ではなく、保健所が私との電話の話だけで決めるのですね。

 医師からは酸素数値が93以下になったら救急車を呼ぶように言われました。保健所で決められた通り手続きを進めていくより、救急車を呼ぶ方が入院できるらしいのです。

 配られていた市報には、感染者には酸素測定のパルスオキシメーターを貸与すると書かれていたので、保健所に依頼しましたが、「届くのに2、3日かかり。発症から1週間で返却だから今から送ってもすぐ返却になるので無理」と言われました。ええ! 話が違う・・・。

 やむなく喘息の子がいる家に依頼し、使っているものを至急届けてもらいました。苦しいときの数値は91、92になりましたが、保健所の対応は「深呼吸しなさい、姿勢を変えなさい、他の指に変えて測り直しなさい」との指示でした。

 辛いまま過ごし、何度もお願いしましたが、保健所対応は1週間で打ち切られました。症状が続いて苦しくても、対応は1週間、それが決まりだそうです。見放されたんだ・・・とその時感じました。

 保健所の職員さんも多忙でさぞや大変なのだろうと思いました。対応できる病院もベッドも少ないのだろうと思いました。そして、その背景には、ここに経費をかけたくないというどこかの意思があるようにも思いました。

 後は自分で、と言われて、立つのも辛い状態でしたが、何とか自転車で医者まで行き、屋外(感染者のため)で診察していただきました。呼吸に雑音があり肺炎とのことです。飲み薬と吸入薬を処方されて、この吸入薬が効いたのかやっと少しずつ楽になりました。

 3週間を越えた頃、まだ咳が出るので薬と吸入を続けながら、症状のアップダウンはありますが、良い方に向かい始めてホッとしました。

 前の日常に戻るまでは、2か月くらいかかったでしょうか。その後も体力の減退を感じ、疲労感、倦怠感はしばらく続きました。寝たきり状態は、こんなことがきっかけにもなるのかなとビクッとしました。 

 後日ですが、感染された友人や知人からいただいたアドバイスは、保健所や医師には、大袈裟に話すことだそうです。確かに、電話対応の保健所は、「あなたはお元気そうですね。」と声だけで判断されましたから。

 救急車は何回かけても通じなかったという話も聞いています。何しろかけ続けなさいと言われました。ただし、救急車に乗れても、病院に行く途中で数値が変わって、家に引き戻されることもあったらしいです。

 自分の経験と感染した他の方のお話から考えたのは、次のようなことです。

●自宅療養には限界があります。(大きな邸宅ならできるのかもしれませんが。)  

●同居人はほぼ感染するでしょう。高齢者がいる場合は、感染者が若くてもホテル療養等を認めるべきではないかと思いました。   

●保健所等の対応は最終的に放置になるようです。年齢関係なく急変時は大変不安で、一人住まいだったらなおさらです。 

 ●私の住んでいる所は保健所がなくなり、今は5市に共同で一つしかありません。管轄はとてつもなく広域です。何故減らしていくのでしょうか。

●保健所の対応はこの政策からきていて、保健所職員の問題ではありません。

●「高齢者は優先に対応」という事前のお知らせもは、信じられなくなりました。  

●一過性のものではなく常に医療体制を充実させる施策が必要です。  

 コロナは個人差があり、今は軽く済む人が多いかもしれません、以前より感染者が減っているのかもしれません。しかし、コロナにはなるもんじゃありません。それが今回の経験からの実感です。皆さんも、お気をつけて。